2007GW回想録「釧路探訪~摩周湖に巨大ザリガニを求めて~」(後編)

さて、前回は釧路湿原を探索したところまでお話しました。
今回はその続き、いよいよ摩周湖でのお話です。
果たして1mもの巨大ザリガニは実在したのか…!?

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さて、釧路市に到着した当日から、僕が摩周湖について気になっている点がひとつありました。
それは摩周湖への行き方。摩周湖と釧路市街はか~な~り離れているのです。

まあ摩周湖と言えば誰もが知っている超メジャーな湖。ルートなどいくらでも…などと思っていたらそれは大きな間違いでした。ルートが見つからないのです!
正確にはバスで行くんですが、乗り場がどうもよくわからない…まあわかったとしても、それ以前に乗車料金がメチャ高い!ハッキリ言って貧乏旅行の範疇を越えていました。

とりあえず駅で調べた結果、摩周駅という、そのままの名前の駅がもっとも摩周湖に近いことがわかりました。
なぁんだJRで行けるんじゃん…と思ったのも束の間。摩周湖までの行き方を駅員さんに聞いてみたところ…


「あ~摩周湖へ行かれるんでしたら、バスか、摩周駅からタクシーが出てますねえ」
「タ、タクシー、ですか…(高そう…)ちなみにおいくらほど…」


わざわざタクシー会社に電話までしていただいたのですが、聞かされた額は10000円ぐらいとのこと(笑)。ならバスにのるべさ!


「タクシーかバスかしかないんですか?歩いては…」
「歩く?!ムリムリ!!片道10キロはあるんですから」


10キロ…往復で20キロ。この数字に僕は打ちのめされました。
ですが、選択肢は二つしかありません。

あきらめて帰るか、20キロ歩くか。
そして、選択の余地はないのでした。

さて予定を大雑把に言うと、


11~13時  摩周駅から摩周湖まで徒歩で移動
13~14時  摩周湖到着、散策
14~16時  摩周湖から摩周駅まで徒歩で移動


さらに言うと、この16時到着というのは決して遅れることは出来ません。何故なら、今日は旅行の最終日。釧路駅から空港へ向かうバスに間に合わなくなるからです!
だから、2時間歩いて到着した後、休みながら摩周湖でザリガニを1時間で探し(笑)、また2時間(同じペースで)歩いて帰らなければならないのです!

さらには資金も底を尽いていました。
つまり、途中でのどが渇いても自由に水分補給すら出来ないのです!
昨日お土産を買ったからですが、それも親しい人へ最低限のもの。
自分へは北海道限定のインスタントラーメン「マルちゃんみそ、しお、しょうゆ」のみ。

やむなく、最低限の備えとして、ラーメンを買った駅前のスーパーで、2Lペットのアクエリアス一本と、チョコレート二つを買いました。

気分は…一日乾パン2個で戦わされていた、南方の島々の日本兵(泣)!

朝。ホテルの朝食はバイキングでした。
発車までには十分時間があります。閑散とした駅前を見下ろしながら、美味しい牛乳を飲み、ここぞとばかりに栄養補給です。

いよいよ出発です。出発間際、昨日の駅員さんに、歩くことを告げました。
駅員さん、絶句していました(笑)。

前回の使い回しの写真ですが、実はこの時に撮影したものです。

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摩周駅に到着しました。
眼前に山が見えます。あの山の向こうに摩周湖があるのでしょうか…。

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駅内のパンフレットを漁って、摩周湖への道を確認。
地図ぐらい買えよ!と言われるかも知れませんが、地図はあったのです。
…今発車した汽車の中に置いてきてしまったのです…(泣)。

(無理矢理)気を取り直して、出発!
あとでわかったことですが、「摩周駅」から「摩周湖入り口」までだけで2キロあるのでした…。

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途中、図書館があったけど時間がないので断念したり、目印にしていた、パンフレットに載っていた大きなホテルが廃墟になっていたりと奇妙な思い出ができました。
自然に限らず、こういう北海道の町中の風景が大好きです。
僕のDNAには北海道好きが染みついているのでしょう。
それにしても人が全然いませんでした…。

よう~やく「摩周湖入り口」に差しかかりました。
長かった…2キロの道のりでももうお腹いっぱいです(泣)。
気になる時間は…ちょっと予定より遅れ気味な感じです。

この道に入ってからは、「いわゆる北海道」的な風景が延々と続きます。
こういう風景はもちろん大好きですけどね。なんというか…
まあ車に乗っていたらじっくり見ることができない風景ですよ!(と強がってみる)
このサイロが見えるあたりは2キロぐらいの地点だったかなあ…
この辺りで一回目の休憩をしたような。

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途中、廃墟になったドライブインや、ソフトクリームの売り場がボロボロになった牧場などを観て心が癒されました(笑)。
おまけに追い抜いていく車に見られているような気がして、ちょっと恥ずかしくなりました。

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あと、心配になって携帯のGPS地図で現在位置を探したところ、あたりに目印がない(笑)。
でも、唯一表示されていたゴルフ場が見えてきてうれしくなりました。具体的に、目的地に近づいていることがわかったからです!もう半分を超えたあたりでした。

ゴルフ場を越えたぐらいから、周囲は木々が生い茂り、少しずつ山に入っていきます。
これは帰り道に撮影したものですがこんな感じ。

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山に入ってからも結構長く感じました。
入る前は標識があって「あと何キロ」と書いてあって、勇気づけられました。

この辺りの写真が残っていないのは、撮る気力が無かったのでしょう。
この雪が見える辺りはもうかなり山の上の方。摩周湖にかなり近いあたりでした。
でも当時はそんなこととは知らず、ひたすら歩いていました。
砂漠の遭難者が、「あの砂丘を越えればきっと…!」と思って砂丘を越えると、また果てしなく砂漠が続いているように、いつ果てるともなく道が続いているような気がしました。

エロ本が捨ててあったのはこの辺りだったかな(笑)。友人に携帯で画像を送りながら歩いていたのですが、もうメールを打つ気力も体力も尽きかけていましたね…

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さて、何度と無く
「ここを登れば…!」
「ここを曲がれば…!」
と思い、その都度裏切られてきた僕でしたが、気力も尽きかけようとしたその時、前方に建物が見えてきました。
僕は摩周湖の「湖畔」を目指しているつもりだったので、その時は目的地とは思わず、「トイレ借りよう」としか思っていませんでした。
摩周湖は山の上にあるカルデラ湖であり、湖畔(湖岸)まで降りることは出来なかったのです。
ともあれ、あまり人が多いので、後について登っていくと…

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美しいブルーの巨大な湖が、眼下に広がっていたのです!!
摩周湖です。湖岸まで降りられないため、ここが終着地点となるのです。
すぐさまトイレを済ませ(全てに於いて優先しますからね)ふたたび展望台に登り、雄大なその姿をゆっくりと眺めます。

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当たり前ですが、大きすぎてカメラに納め切れません。
また、こんな写真では摩周湖の美しい「マシュウ・ブルー」と、巨大さは完全には伝わらないでしょう。
ともかく、見渡す限り巨大で、美しい青だった。そうとしか言いようがありません。
また、先述したとおり、摩周湖は山の上にある湖です。
ですから「岸」というものがまったくなく、山の斜面は湖に沈んでいます。
湖から山が生えているのです。

さて、しばし足の疲れも忘れ、青く美しい自然の姿に見入っていた僕でしたが、目的を達成せねばなりません。
…が、その前にまず腹ごしらえ。何か摩周湖らしいものを食べたかったのですが、メニューにあるのは「ラーメン」「フランクフルト」「じゃがバター」(笑)。
まあ文句は言えません。僕はじゃがバターとホタテとイカ(どっから?)の串焼きで腹ごしらえを済ませました。

さて、時間もそうありません。足は痛み、まだ昼過ぎではあるものの、すみやかにザリガニに関する情報を得、4時までに駅に帰りつかねばならないのです。

まずは土産物から見て行きます。
摩周湖の霧を詰めた缶詰なんかを友人へのお土産にしたかったのですが金はすでに底を尽いています。
「まりもっこり」なるフザけたキャラクターに一人憤りながら(でもウケているんですよね~)ザリガニに関するものを探しますが、一切見つかりません。まるで釧路駅前の土産物センターに行ったときと同じ感覚。
意を決して店員の女性に聞いてみましたが、ザリガニなど知らないというお答え。
あれ?ザリガニって冷蔵で送ったりするんじゃなかったの?
釧路の時と同じく、僕は途方に暮れてしまいました。

もはや頼りの綱は、展望台入り口すぐの所に開設されていた「観光相談窓口」のみ。
藁をもすがる思いで、窓口の男性にザリガニについて訪ねます。


「あの、摩周湖って…ザリガニいますよね?」
「え?」
「1mのザリガニがいるとか…」


僕の問いに一瞬戸惑っていた男性は、ゆっくりと答えました。


「確かにザリガニはいます。でも、巨大なザリガニはいません」


男性のお話とは次のような内容でした。

…確かに摩周湖にウチダザリガニは生息している。でもそれは、元々放流された魚の餌にするためのもので、大きく育つ前に食べられてしまう。確かに昔、調査をしたときにも網にかかったが、それは小ぶりなものばかりだった。
それに摩周湖は国立公園である。許可無く生物を捕ることはおろか、立ち入ったり、草木一本折ることも許されない…


僕は戸惑いを抑えながら、男性に礼を述べ、展望台を後にしました。

非常に複雑な心境でした。

1mの巨大なザリガニなんてそうそういるもんじゃない、薄々、そう思っていたのは事実です。でも地元の人に面と向かってはっきり言い切られたのでは…
でも、絶対にいないと言い切られた訳ではありません。東京に帰ってからネットで調べてみたところ、摩周湖は水深が深く、巨大なザリガニが生息していても不思議ではないとのことでした。

また男性のはっきりとした言い方も、余計な興味を持たせて密漁などをさせることを警戒したような気もします。

あの湖の湖底にはきっと巨大なザリガニが蠢いている。
そう考えるのが、神秘的な摩周湖にふさわしいじゃないか。
1mにも育ってしまったら、ニジマスにも食べられないだろうし(笑)

そう思いながら、歩いてきた道を引き返す僕でした。
途中、山を下りる際に若いシカを目撃したりしましたが(クマじゃなくて良かった‥)ちょっとギリギリで最後は走ったりしましたが、僕は無事、帰り着くことが出来ました。

これは負け惜しみのように聞こえるかも知れませんが、往復24キロを歩いたからこそ、食べ物にも困るほどの貧乏旅行だったからこそ楽しめた旅だったと思います。
釧路空港に向かうバスの中で、缶コーヒーと銘菓「丹頂鶴の卵」(一番量の少ないやつ)を噛みしめながら僕はそう思いました。
とても安く、そして楽しい旅でした!

…さて最後に、大きな謎「なぜ摩周湖でウチダザリガニが流通していないのか?」を解明したいと思います。

…っつうか解明するまでもありませんね。
ご存じの方もいるかもしれませんが、ザリガニが採れるのは「阿寒湖」の方なんです(笑)。
阿寒湖の地元の方ではそれこそお土産に売られていたり、天皇陛下がお召し上がりになったというエピソードもあるそうです。
また、有名な阿寒湖のマリモをザリガニが食い荒らすという被害も出ているとか。

今度は阿寒湖に行き、ここでまたご報告をするかもしれません。



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